Kortxは、止まっている対象も動いている対象も、途切れることなく3Dで計測しつづけます。ロボットにはリアルタイムの知覚を、AIには映像からは取り出せない物理の情報を。
Kortxは、ステレオ構成のイベントセンサーと走査レーザーを組み合わせた3D計測プラットフォームです。カメラのように画像を撮るのではなく、レーザーが対象に刻んだ点を、当たったその瞬間にセンサーが捉えます。動いていても止まっていても、3次元の位置を連続的に出力しつづけます。
データがフレームで区切られないため、「速さ」と「精度」のどちらかを選ぶ必要がありません。同じデータを短く読めばリアルタイムのロボット誘導に、長く読めば検査に足る高密度な3Dモデルになります。
フレームベースの方式では一般に70〜300 ms。動作中のロボットを、止めずに誘導できます。
形状から推定した奥行きではなく、レーザーが刻んだ点そのものの実測値です。
位置と姿勢を常に把握しつづけるため、対象が動いていても計測が崩れません。
いま「見る」機械のほとんどは、フレームカメラを使っています。何も変わっていなくても、決まった周期で全画素を読み出す。人の眼は、そういう働き方をしていません。
1枚のフレームに写るのは、平面に凍りついた一瞬です。奥行きを知るには、フレームがもう1枚要ります。三角測量のための別視点か、投影パターンの連続か。動きを知るにもフレームが要ります。前後のコマを比べて、はじめて「動いた」とわかるからです。つまりフレーム方式がわかることは、すべてコマを積み重ねた推定であり、その1枚ごとに時間を使っています。
そしてコマとコマのあいだ、システムは何も見ていません。接触した瞬間、滑った瞬間、急に止まった瞬間。肝心な出来事は、たいていその隙間で起こります。演算を速くしても、レンズを良くしても、この構造は変わりません。
製造現場は、自動化を成立させるために環境そのものを作り込んできました。停止ステーション、精密治具、専用工具。機械が想定したとおりの位置に、対象を正確に置いておくためです。
それでも残るばらつきを吸収するのが、ビジョンの役目です。フレームベースのビジョンもその役目を果たしますが、吸収できる幅はごくわずかです。精密に治具固定した組立でさえ、部品ごとのばらつきによって、ロボットは次の一つをそのまま置けません。だからビジョンが特徴の位置を測り、ロボットが補正する。止めて、固定して、照明を整えた世界で、ミリ単位のばらつきを吸収する。これがフレームベースのビジョンの、最良の姿です。
裏を返せば、それ以上ばらつく工程は、すべて人手のまま残ります。フレームベースのビジョンが成立するところまで工程を囲い込もうとすると、その設備投資が、置き換えるはずだった人件費を上回ってしまう。自動化が止まるのは、たいていこの一線です。
自動化できる範囲は、ロボットとその「眼」がどれだけのばらつきを許容できるかで決まります。そしてフレームが許容できる幅は、ごくわずかです。
Kortxは、写真を速く撮る装置ではありません。そもそも、写真を撮りません。
Kortxは、人の眼に近いやり方で世界を捉えます。変化に反応し、画素ごとに、100万分の1秒の分解能で、連続的に。そのうえで、信号を自らつくり出します。走査レーザーが対象に点を刻み、センサーがその点を、当たった瞬間に捉える。動いていても止まっていても、Kortxは3次元の位置を実測します。
「測っている」のか「推定している」のか。両者を分けるのが、このレーザーです。他の方式は、アルゴリズムに照合の手がかりを与えるために粗いドットを投影し、そこから奥行きを推定します。しかも推定できるのは、形状が手がかりになる場所だけです。Kortxは、距離そのものを測ります。
精度を担っているのは、精密に組み上げた光学系ではなく、ソフトウェアです。高価なレンズも、寸分の狂いもない実装も必要としません。精度をソフトウェアが引き受けるぶん、ハードウェアは現場で壊れず動きつづけること、つまり頑健性に専念できます。
これは「よりよいカメラ」ではありません。別の原理で動く視覚であり、産業用センシングの新しいカテゴリーです。
データがフレームで区切られず流れつづけるため、Kortxは同じデータを2通りに読めます。数ミリ秒分を読めば、動いている部品を追いかけ、動作中のロボットをそのまま誘導できます。同じデータを1秒ほど読めば、高密度で高精度な3D点群になり、その部品の欠陥検査や寸法計測に使えます。速さか精度かという二択は、ここで消えます。1台のセンサーが、1回のパスで両方をこなします。
1本のデータを、2通りに読んでいるだけです。動く部品を追うための速くて粗い読み方と、時間をかけて積み上げ、モデル化と検査に使う細かい読み方。同じデータ、同じ部品です。
そしてこのデータは、時間をかけてAIを育てます。いまのAIは物理世界をおもに映像から学びますが、映像は平面です。何が起きたかは映っても、3次元では映りません。接触の瞬間、面のたわみ、落下の速さ。物理はそこから抜け落ちています。Kortxが記録するのは、まさにその層です。何が、いつ、どう動いたかを、3次元の実測値で。
ロボットをいま動かすためのデータが、そのままAIに物理を教えるデータになります。
これは、既存のマシンビジョン予算を取り合う話ではありません。これまで人手でしかできなかった工程を自動化し、フィジカルAIに、これまで存在しなかった種類のデータを渡す話です。
Kortxは現在、自動車、半導体製造、医療ロボティクスの各分野で、グローバル企業とのプログラムが進行しています。もっとも条件の厳しい現場が、私たちの試験場です。動きのなかで、照明の悪い場所で、測りにくい表面に対しても成立する3D計測。身体を持つAIに欠けていたのは、この感覚の層でした。いまの現場で通用することが、次の時代への資格になります。
これは、市場シェアの話ではありません。市場そのものの話です。